精密などんぶり勘定 – 家具の3辺を才数から推定してみる

商品マスタに縦・横・高さが入っていなくても、出荷の実績に「才数」は残っていることがよくあります。才数は容積なので、大きさは分かっても形は分かりません。ところが家具は、種類ごとに梱包の形がほぼ決まっています。そこを使えば、商品名と才数だけで、梱包の3辺をざっくり出せます。

3辺を出す手順

種類を当てる:商品名から「ソファ」「ベッドフレーム」などの種類を当てます。ここだけLLM(大規模言語モデル)に任せます。

決まっている2辺を置く:種類が分かれば、梱包の形はほぼ決まります。ソファなら奥行と高さ、ベッドフレームなら幅と厚み。シングルかダブルか、商品名の「幅90」のように、名前に手がかりがあればそれも使います。この値は、カタログではなく実績の傾向から決めます。

残り1辺は才数で決める:実績の才数の中央値から容積を出し、決まっている2辺で割ります。

才数だけでは、形が分からない

才数は1尺(約30.3cm)角の箱いくつ分か、という容積の単位です。1才は約2.8万cm³。容積は分かっても、平たいのか、細長いのか、箱型なのかは分かりません。家具の梱包は、種類によってこれだけ形が違います。

容積だけでは、トラックの床をどれだけ使うか、上に積めるかが分かりません。形が要ります。

商品を1つ選んで、3辺を推定してみる

    実績の才数(記録ごと)

    本当の梱包推定した梱包

    100商品で、ずれを測る

    同じ種類の商品を100個作って、それぞれ3辺を推定し、本当の梱包とのずれを測ります。実績の記録には、入力のばらつきや、重さで換算された才数、桁の打ち間違いも混ぜてあります。

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    数字は、本当の寸法とのずれの平均です。種類と記録の数のボタンを切り替えると、ここも計算し直します。

    決まっている2辺は、商品ごとの差がもともと小さいので、ほとんどずれません。ずれは、才数から出す1辺に集まります。ベッドのように何個口かに分かれる商品は、個口ごとの割合も実績の傾向から決めるので、その分だけずれが乗ります。それでも、記録が100件あれば中央値が安定して、1割前後に収まります。10件しかないと、入力のばらつきや外れ値に引っ張られて、ずれが大きくなります。

    梱包の工夫は、才数の傾向に出る

    通販では、梱包サイズの削減は最大のテーマの一つです。1〜2才の違いは、そのまま運賃の違いになり、競争力の違いになります。分解の仕方を変える、緩衝材を減らす、箱の寸法を詰める。そうやって梱包を小さくしている会社があります。薄くて、軽くて、安いコンパクト家具を得意にしている会社もあります。

    こうした工夫は、商品名には出てきません。1品ずつ見ても、たまたま小さめの商品なのか、工夫の成果なのかは分かりません。でも、同じ種類の大量の商品と並べて、会社ごとにまとめて見ると、傾向として見えてきます。

    比べる相手は、同じ種類の大量の商品です。ベッドならベッド、食器棚なら食器棚の、他社を含めた何百もの商品の中で、その会社の商品がどのあたりにいるかを見ます。商品名から分かる大きさの違い(シングルかダブルか、幅、段数、すのこかどうかなど)は先に揃えておき、そのうえで「同じ種類の中で、才数が大きめか小さめか」を偏差値にします。

    ここでは、大型配送の対象になる10才以上の家具(ソファ、ベッドフレーム、二段ベッド、食器棚、チェスト)について、全部で5,000品番を比べます。他社の4,700品番と、B家具の300品番です。才数は、出荷のときの業界のルールどおり、どの会社も端数を切り捨てたものとしています。全員が同じルールなので、比べるうえでは差が出ません。

    品番ごとの偏差値(同じ種類の大量の商品の中での、才数の大きさ)

    1つの点が1品番。50がその種類の真ん中、左ほど小さい。縦の太線がそれぞれの平均。B家具の赤い点は、梱包の工夫で1〜2才小さくしている品番です。

    手順はこうです。

    1. 大きさの違いを揃える:商品名から種類・サイズ・幅・段数・すのこかどうかを読み取り、3辺推定の決め打ちの寸法から「この大きさならこのくらい」を出す
    2. 同じ種類の大量の商品の中で偏差値にする:登録された才数が「このくらい」からどれだけ離れているかを、他社を含めた同じ種類の商品全体の散らばりで割って偏差値にする
    3. 会社ごと・種類ごとに平均する:どの種類でも平均は50のまわりに来るのがふつうです。そろって下に寄っている会社は、梱包を小さくする工夫の成果が出ている可能性が高いと言えます
    4. 実績で確かめる:その会社の商品の出荷の実績と照らし合わせて、小さく梱包できていることを確かめます。積載の見込みや運賃の見積もりに、その工夫をきちんと反映させます

    梱包がうまい会社は、数字の上でも見つけられます。その工夫は、運賃の見積もりや積載の見込みに反映すべきものですし、ほかの会社が学ぶところでもあります。全部の商品を1つずつ見るのは現実的ではありませんが、傾向の見える会社から実績と照らし合わせていけば、手間はわずかで済みます。

    決め打ちしても、大外れしない理由

    ソファの奥行や高さを「だいたいこのくらい」と決め打ちして、なぜ大きく外れないのか。家具の形には、もともと決まってしまう理由があるからです。

    • 人間の体に合わせてある:座面の高さ、ベッドの長さ、机の高さは、人の体の大きさでほぼ決まります。体の大きさが変わらない限り、家具の大きさも大きくは変わりません。
    • 家に入らないと売れない:玄関、廊下、エレベーターを通れない家具は売れません。だから梱包の大きさは、自然と一定の範囲にそろいます。
    • トラックに積む前提で作られている:メーカーも運賃を考えて梱包を設計しています。背もたれを外して重ねる、天板と脚を分ける、といった梱包の形は、種類ごとにほぼ同じです。

    この3つで決まってしまう部分は、商品ごとに測らなくても、だいたいの値で決め打ちして構いません。ここがどんぶり勘定の部分です。

    決まらない部分、つまり何人掛けか、どのサイズかで変わる1辺だけを、実績の才数から出します。何百件もの記録の中央値を使うので、入力のばらつきや外れ値に引っ張られません。ここが精密な部分です。

    原理はこれだけ、あとは実績で答え合わせ

    才数から出す辺 = 才数の中央値 × 2.8万cm³ ÷(決まっている辺 × 決まっている辺)

    必要なのは、商品名から種類を当てることと、種類ごとの「決まっている2辺」と、実績の才数だけです。LLMに寸法そのものを聞く必要はありません。寸法を聞くと、組み立てた後のカタログ寸法を答えがちですが、運ぶときの箱は、背もたれを外したり、分解したりして小さくなっています。運んだ箱の大きさを一番よく知っているのは、実績の才数です。

    気をつける点もあります。路線便の才数は、重い荷物だと重さから換算されることがあり(1才=8kg換算)、その場合は実際の箱より大きく記録されます。複数の箱に分かれる商品は、才数が合計で記録されているのか、箱ごとなのかでも計算が変わります。こうした例外は、同じ種類の普通の範囲から外れるので、件数が多いほど見つけやすくなります。

    このページの計算は、考え方を説明するためにかなり単純にしています。実際の推定では、梱包の種類の見分け方や、決まっている辺の決め方、外れ値の扱いなどを、実績を見ながら詰めていきます。原則としては、こういう考え方で3辺を推定しています。

    精密などんぶり勘定とは

    経験と勘で行っていた見積もりを、実績データとの照合で継続的に補正し、人や日によるばらつきを小さくする手法です。補正には機械学習などを使います。

    どんぶり勘定なのは、細かいところは丸めて、結果が変わるところだけを見るからです。

    精密なのは、人間と違って、過去との答え合わせを自動で続けるからです。人は昨日の外れを忘れたり、たまたま当たった日だけを覚えていたりします。ソフトウェアは毎日の実績を全部同じ重さで覚えていて、ずれた分だけ次の日の見込みを直します。

    このページの数字は、すべてシミュレーションで作った架空のデータです。お客様の実際のデータは使っていません。

    このページのデータについて:このページの数字や商品・会社・倉庫などは、すべて公開されている情報などを参考に、シミュレーションで作り出した架空のデータです。お客様の実際のデータは、一切利用していません。